今回は、ガソリン価格が値上がりしている現在の状況について、
「なんでこのタイミングで値上がりしているのか知りたい!」
「今後はどうなるの?さらに値上がりするの?」
ということを知りたい方に読んでいただきたいと思います。
2023年の夏をむかえ、急にガソリン価格がどんどん上昇しています。
「せっかくの夏休みなのに、車で旅行するのが怖くなってきた・・」という方もいたのではないでしょうか?
そして、なぜガソリン価格が上昇しているのか理由を知りたい、そして、今後はどうなるの?
と気になっている方も多いと思います。
今回は、このタイミングでガソリン価格が上昇した理由と、(あくまで予想となりますが)今後ガソリン価格がどうなっていくか、についてわかりやすく解説していきたいと思います。
“政府の補助金”について
ガソリンの高騰について正確に理解するためには、まずは“ガソリン価格高騰を抑えるための補助金”についてしっかり理解しておく必要があります。
この”補助金”は正式には、経済産業省が実施する「燃料油価格激変緩和補助金」という名称のものです。
“補助金”の目的
“補助金”と聞くと、我々消費者が「購入するときに補助(安く)してくれる」というイメージを持つと思いますが、この制度はあくまでガソリンを”販売する業者”に対する制度で、
ガソリンなどが高騰することによる経済活動への悪影響を最小限にするため、ガソリンの価格変動を最小限に抑えるための補助金と理解していただければと思います。
「消費者に直接補助金を支給する制度ではない」ことはHPにもしっかり記載されています。
“補助”の内容
補助金の内容について簡単に説明すると、国が”170円”をガソリンの基準価格と設定し、その基準を超えた場合にさらなる高騰が発生しないよう補助金を適用する、という内容です。
ガソリン価格を「安くする」というよりは、170円以下になるように「コントロールする」というのが正しい理解だと思ってください。
補助金がどのように適用されているのか、については我々にはあまり見えない部分ではありますが、実際には2022年1月に基準価格を超えて以降、ずっと補助金が適用されている状況です。
このことを国民に対して説明していないことは、疑問を感じる部分でもあります。
補助金の上限価格は当初は5円でしたが、それでは急騰を抑えきれないと判断された2022年3月に上限は25円、2022年4月には35円+α(35円を超えた額の半額)まで引き上げられました。
基準価格についても当初は170円でしたが、172円(2022年3月)→168円(2022年4月)と見直しが実施されています。
“補助金”はいつ終了するの?
ガソリン価格高騰に対する“補助金”ですが、当然のことながら永続的に続けるものではありませんでした。
世界的な原油価格が安定してきたこともあり、政府は2023年5月に
「ガソリン価格への”補助金”については、2023年6月から段階的に減少し9月に終了する」
ということを閣議決定していました。
しかしながら、その直後から原油価格の高騰したことから、2023年8月には
「補助金について、10月以降も継続する」
という方針となりました。
かなり振り回されている感がありますね。。。
ガソリン価格”高騰”の原因
それでは、なぜこの数カ月でガソリン価格が高くなったのでしょう?
実は「最近、ガソリンの価格が高くなった」というのは正しい理解ではではありません。
ここでは、急にガソリンが高くなったように感じてしまう理由を目に見える形で説明したいと思います。
ガソリン価格の推移
「なぜ最近ガソリン価格が高騰しているのだろう?」ということを言い換えると、ここまでの数年間、私たちが生活する中では「ガソリンが高くなっている」という感覚がなかったともいえます。
実際にはどうでしょう。
経済産業省が発表しているこちらのグラフをご覧ください。
最新の状況については知りたい方は、こちらからご覧ください。
赤点線(上側の線)の価格が「もし補助金がなかった場合」のガソリンの価格になります。
このグラフを見ると、2022年は実際には200円を超えている時期が長くあった、ということがよくわかります。
赤実線(下側の線)の価格が実際の私たちがガソリンを購入する価格になるので、補助金によって安定した価格に保たれていたことがよくわかります。
気が付かないうちに補助金の恩恵をたくさん受けていた、ということですね。。。
ここ数カ月で値上がりした原因
そして、ここ数カ月でガソリンが値上がり(私たちの購入価格が値上がり)した主な要因は、「国の”補助金”がこの徐々に少なくなっている」ことにあります。
もう一度、このグラフに戻ります。
グラフの右の方を見ると、「補助がない場合のガソリン価格」自体は今年に入ってから7月までは大きく変化していないにも関わらず、補助金の段階的な減少が始まった6月以降で「補助後のガソリン価格」が上昇していることがわかります。
一方で、8月に入ってからは「補助がない場合のガソリン価格」自体も高騰していることもわかります。
この点は、この数週間だけの動きなので今のところ明確にはわかりませんが”原油相場の高騰”と”円安”が原因と言えると考えています。
この二つの要因により、我々が「最近、急にガソリンが高くなった」という感覚を持ってしまうことにつながっているということです。
政府の対応と今後の動向
この数週間のガソリン価格の高騰に対しては、日本政府も敏感に反応しています。
まだ最終的に判断されていませんが、10月以降の補助金も延長する方向で調整が行われているようです。(8月時点情報)
国民が声を上がりやすい部分で、政府の支持率にも影響する部分なので当然ですね。
今後の動きについては、このサイトで状況をお伝えできればと思います。
FP目線で”ガソリン補助金”についての見解
ここで少し話は変わり、ここまで説明してきた「ガソリン補助金」についてFP観点での見解を述べさせていただきたいと思います。
なぜ「補助金」なのか
ここまで「ガソリン価格を安定させるために、補助金が利用されていた」という説明をさせていただきました。
国の対応策としては「ガソリン税を減税する」こともできたはずですが、なぜ「補助金を出す」という手段だったのでしょう?
この点について「ガソリンの購入価格が変わらないならどっちでもいい」という方も多いと思いますが、細かい部分を見ていくとそうも言ってられない可能性も見えてきます。
「ガソリン税」について
ガソリンを購入する際の“ガソリン税”については、あまり意識したことがない方も多いかもしれません。
細かい計算もあるので、明確な割合を出すことはできませんが、だいたい「ガソリン購入価格の4割程度が”ガソリン税“」と言われています。
私は今回このことを初めて知ってびっくりしました。。。
であれば、ガソリンを購入する際のガソリン税を調整することで、安定した価格にすることができるはずですよね。
“補助金”が問題と考える理由
それでは、ガソリンの価格を”補助金”で安くしていることにどんな問題があるのか、という点ついて見解を説明したいと思います。
購入者にとっては「ガソリン価格が安くなる」ということには変わりはないものの、
・「補助金を出す」というのは、ガソリンを購入しない人からの税金も使ってガソリン購入価格を調整していることになる
・「ガソリン購入時のガソリン税を調整する」であれば、実際にガソリンを購入する人に対する減税なので、公平である
という点に問題があると考えています。
これまでは補助金のおかげで「ガソリン価格が高くなった」という認識があまりなかったので注目はされませんでしたが、今の状況では「なんで私は車を使わないのに、私の税金が”ガソリン価格の補助金”に使われてるの?」と疑問を感じる人が出てくるかもしれません。
では、なぜ政府は”補助金”で価格を調整するのでしょう。
それは、「ガソリン税」が法的な制度だからです。
「ガソリンを購入する際に〇%の税金をもらう」というのが法律として定められているので、その数値を調整するのは、とても難しいことです。
元の税率に戻すのも大変ということもあり、短期的な問題であれば”制度を変える”のではなく一時的な”補助金”で解決したかったのだと思います。
要するに、“補助金”であれば「一時的に補助します」ということで進めやすかったということです。
でも、このことは”国の制度上の事情”としか理解できない、というのが納得いかない点になります。
本当に「国民のこと」を考えているのであれば、考え方を改めていただきたいと思いますね。。。
私たちができる「値上がり対策」
ここまで、ガソリンの値上がりに対する政府の対応などについて記載してきましたが、私たち自身ができる対策は何かないのでしょうか?
私たちができる「ガソリン値上がり対策」について紹介(というよりは提案)したいと思います。
まずは、少なくともよく使うガソリンスタンドの”会員”にはなっておきましょう。
“コストコ”で給油する
「急になぜ”コストコ”が出てくるの?」と思われる方も多いかもしれませんね。。。
倉庫型店舗として有名なコストコでもガソリン給油ができます。
店舗の場所も限られているため誰にでもできる対策ではないですが、自宅周辺に”コストコ”があるのであれば、「コストコで給油」するのがまずは一番の対策です。
周辺のガソリンスタンドと比較して10円以上安い値段で設定されています。
この記事を書いている日で比較すると、私のよく使うガソリンスタンドが187円/lに対して、コストコは168円/lということで、19円も安かったです。。
「価格が安い」と聞くと「本当に品質は大丈夫なの?」と不安になる方も多いかもしれませんが、国が定める基準をもちろん満たしていますし、そもそも「石油会社によって品質はほとんど変わらない」ということが言われてますので、品質面を気にする必要は無いようです。
コストコで給油するには、年会費の4,840円が必要となりますが、
・他のガソリンスタンドより10円程度安い
・月1回50l給油する
と仮定して計算すると、この条件だけでも年間6,000円得することができ、年会費を十分回収できる計算になります。
さらに、コストコでお得な買い物ができることも大きなメリットです。
本来は、ガソリンを安く購入できることは”特典”になるかもしれませんが、これだけガソリンが高騰すると、ガソリン購入だけでもかなりお得感が出てきますね。
安いお店を見つけたらとにかく給油する
ガソリン給油は「残りが少なくなってきた」タイミングで行う方がほとんどだと思います。
「ガソリン満タンだと燃費が悪くなるからギリギリまで給油しない」
という方もいますが、実際には1,000kgの車に対してガソリンの量が数十キロ変化したとしても、燃費はほとんど変わらないと思ったほうがいいです。
車に積んでいる荷物を整理したり、自分自身がダイエットをしたほうが効果があるかもしれませんね。
ということで、「安い」ガソリンスタンドを見つけたらとにかく給油しておく、というのも対策の一つになると考えてよいと思います。
また、ガソリン価格の比較サイトもあるので、お出かけやガソリン給油が必要な場合の参考になればと思います。
ガソリン価格が毎日更新されるので、マメな方におすすめです。
燃費のいい車に買い替える
これは、かなり思い切った提案になりますが、“燃費のいい車に買い替える”というのも、一つの手段かもしれません。
ガソリン価格については、しばらくは値下がりするとは考えにくいことを考えると、長期的に考えて燃費のいい車に買い替えるのもいい手段だと思います。
そして、みなさんがどのような車を乗っているかはもちろん私にはわかりませんが、車種によっては意外に高く売却できることがあります。
特に日本車は海外でも人気があるうえ、円安の影響(効果)で思っている以上の高値で売却することができることもあるので、買い替えのいい機会になるかもしれません。
という話を聞いて、すぐに車を売却しようという方はいないと思いますが、自分の乗っている車がどれくらいの価格で売却できるかは把握しておいたほうがいいかもしれません。
とはいえ”ビッグモーター”の問題などを見ていると、中古車の売買については慎重に行ったほうがよさそうですね。
さいごに
今回は、ガソリン価格が値上がりする理由と今後の動向などについて、FP目線で解説しました。
日本政府は、9月以降もガソリン価格を抑える補助金を出す方向で検討しているようですが、日本経済の状況や世界情勢を見ても、今後値下がりすることは考えにくいと思ったほうがいいと思います。
長い目で見て“自分にできる対策”を、ぜひ考えてみてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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