みなさん、こんにちは。
今回は、”妙見の森”の営業終了について解説します。
2023年6月23日、北摂に長年住んでいる私にとって衝撃のニュースが飛び込んできました。
“妙見の森”2024年6月で営業終了
newsrelease202306231.pdf (hankyu.co.jp)
桜や紅葉の景色がきれいでハイキングも楽しめ、ロープウェイやリフトを手軽に楽しめるということで、毎年1回以上は行っていたのでかなりショックを受けたニュースでした。
ケーブルカーやリフトから紅葉や桜を見るのもあと1年しかないのか・・・
と思っていたところに、9月22日にさらに衝撃のニュースが!
“妙見の森”の事業終了を2023年12月3日に繰り上げ
newsrelease202309221.pdf (hankyu.co.jp)
今年の紅葉シーズンの終了と合わせて、”妙見の森”の営業を終了するということです。
約2カ月前での営業終了の予告というのは、よほど早く営業をする必要があったということの表れだとおもいます。
紅葉の景色はラストチャンスで見ることができますが、ケーブルカーやリフトから桜の景色を見ることはもうできない、ということになります。
今回は、“ケーブルカー”や”妙見の森”の歴史について振り返るとともに、その営業をこのタイミングで終了せざるをえなかった理由について解説していきます。
2022年秋、妙見の森に行ってハイキングやケーブルカー・リフトなどを楽しんできました。
その模様はこちらの記事にまとめていますので、興味のある方はぜひご覧ください!
“妙見の森ケーブル”や”妙見の森リフト”の他、バーベキュー広場などについて動画でもまとめていますので、興味のある方はぜひごらんください。
妙見の森ケーブル
まずは、妙見の森ケーブルの歴史について振り返っていきます。
妙見の森ケーブルは、およそ100年ほど前に妙見山へ参拝する方を麓から山上へ輸送することを目的として建設されました。
当時は、上部線(今はリフトがある場所)と下部線(今のケーブル路線がある場所)の2つの線路があったようです。
しかしながら、戦争中の1944年に全国で実施された「不要不急線の整理」によりこのケーブル路線は廃線となり、資材もすべて撤去されることとなりました。
撤去された資材は、戦争に重要な路線や武器作りに利用されたようです
そして、戦争が終わりしばらく経った1960年、現在の能勢電鉄によってこのケーブル路線が復活することになります。
ただ、ケーブルカーが復活したのは当初の下部線のみで、上部線はリフトが建設されることとなりました。
上部をリフトにしたのは、資金不足のためコストを抑える目的があったようですね。
でも、逆にリフトにしたことで、子どもも楽しめる乗り物になった感じもします。
この路線(リフトも含む)が今も運営されています。
“ケーブル路線”がなくなるということではありますが、このケーブル路線は能勢電鉄が運営していて、能勢電鉄の路線の一つであるため、能勢電鉄の一部路線が”廃線”される位置づけとなります。
通常、路線が廃止される場合は、その路線が担っていた輸送手段の代替手段(バス・タクシーなど)を準備するため廃線申請してから1年以上待つ必要がありますが、“妙見の森ケーブル”については、廃線を繰り上げしても利便性に問題がない、と近畿運輸局が判断したため、廃線日繰り上げとなったようです。
妙見山に行く方の利便性は損なわれると思いますが。。
住人ではないということで、このような判断になったのかもしれませんね。
妙見山に登る手段について
妙見山の山上は「北極星信仰」の聖地として有名な場所でもあります。
北極星信仰の世界的聖地 | 日蓮宗霊場 能勢妙見山 (myoken.org)
この妙見山の山上に行くには、東側(能勢)からと西側(川西)からのルートがあります。
東側ルート
かなりクネクネした道にはなりますが舗装された道路があり、車や自転車などで山上に向かうことができます。
以前は妙見山上まで行くバスもあった(日曜・祝日のみ)のですが、2019年7月に廃線となってしまいました。
201907東能勢線改正R (hankyubus.co.jp)
妙見山上には、かつてバスが往来していたことの記念撮影スポットがあります。
西側ルート
先ほど説明した、ケーブルカーとリフトを乗り継いで山上に向かうルートの他に、山上へのハイキングコースがあります。
ケーブルカーの廃線により、ハイキングコースを使って上る手段しかなくなります。
ハイキングコースでは、妙見の森に立ち寄ることはできません。
ケーブル路線の廃線によって、公共の交通機関を使って妙見山上に登ることができなくなるため、参拝に訪れる方も少なくなりそうですね。。。
“妙見の森”事業について
妙見の森の中心といえばケーブルカーとリフトの間にある広場です。
この場所には、遊具やバーベキューテラスがあり休日を中心に賑わっています。
妙見の森ガイドマップ|妙見の森へ行こう|おでかけ・沿線情報|のせでん【能勢電鉄】 (hankyu.co.jp)
この妙見の森は、2013年に能勢電鉄を含む阪急グループが投資して大きくリニューアルした施設になります。
https://www.hankyu-hanshin.co.jp/legacy_data/ir/data/GR201302282N1.pdf
“妙見の森”事業撤退の理由
では“妙見の森”の事業を撤退せざるを得なかった理由は何なのでしょう。
まずは、妙見の森への来場者数が伸び悩んだことにあります。
先ほど説明した通り2013年に大規模なリニューアルを行いました。
当然、このリニューアルにより集客を増やそうと考えていたのだと思いますが、それほど来場者が増えなかったということなのでしょう。
そして、コロナウイルスの影響も、もちろんあったと考えられます。
確かに紅葉シーズンでも、人があふれているという感じはしません。
もう一点、ケーブルカーの整備費用があげられます。
1960年の運行開始から60年以上運行していくなか、近いうちに大規模な整備が必要なことが見えているのですが、その費用の捻出が困難であるといわれています。
安全面を考慮すると、このままケーブルカーを運行するわけにはいかない、という判断があったようですね。
さいごに
今回は、2023年12月に営業が終了する”妙見の森”について、その歴史や営業終了となる理由について解説してきました。
1年を通じて、さまざまな自然の景色を楽しめるこの施設がなくなってしまうのは、とても残念です。
あと数か月しか楽しむことができない妙見の森の施設を、最後まで楽しみましょう!
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
【おまけ】事業終了後の様子
2023年12月3日の事業終了後、ケーブルカーの黒川駅に行ってきました。
事業終了→すぐに解体工事、ということはないようで、そのまま残されていました。
周辺にはだれもいませんでしたし、駅前の駐車場も閉鎖されているようでした。
駅に近づくと、「事業終了のお知らせ」かんばんとともに、ケーブルカーもひっそりとおかれていました。
なんだかさみしい光景です・・
「ケーブルカーの線路を歩いて登ろう」みたいなイベントがあると楽しそうですね。
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